左足を失っても元気に生き抜くアオウミガメさん達は凄い!

- 澄んだ小笠原のボニンブルーの海を遠くで気持ちよさそうに優雅に泳いでいるのはカメ目ウミガメ科アオウミガメ属のアオウミガメさんです・・・ウミガメ科最大種のアオウミガメさんは卵を産みにメスはリスクを冒してでも上陸しないといけないのですが上陸するのはメスだけでオスは上陸しないそうです・・・言われてみれば確かに陸上では動きが緩慢になるカメさんなのでわざわざ陸に上がってリスクを冒す必要は無いですよね・・・アオウミガメさんの特徴は甲羅は上から見ると幅広いきれいな卵型でお尻側にギザギザは無く頭部は小型で丸みを帯びタイマイさんと違って吻端はあまり突出していません・・・また前額板は左右に1枚ずつで眼後板は4枚なのもアオウミガメさんの特徴でタイマイさんとの判別には役立ちます。

- アオウミガメさんの名前は体脂肪が青緑色であることに由来しますがこれは主食である海藻類の色素が脂肪に反映されることによるものだそうです・・・自分の脂肪に食べた物の色が反映されるなんてよっぽど海藻類が好きなんですね・・・などと思っているうちに遠くを泳いでいたアオウミガメさんが私たちに気が付いたようで興味を示して方向転換して近づいてきました・・・アオウミガメさんは眼が純情そうで可愛いいですし「あの泡をぶくぶくさせて動いている大きくて不思議なものは何だ?」とばかりの興味津々の表情で近づいてくる姿がたまらないですね・・・ここまで大きくなるまでにアオウミガメさんはどの様に歴史を紡いできたのでしょうか?・・・まず孵化後の幼体の時は外洋の表層に浮遊する藻類などに隠れてひっそりと生活します・・・隠遁生活後甲長が30cmまでに成長するとアオウミガメさんは沿岸域へ侵入しそこで生活するようになると考えられています。

- アオウミガメさんの食性はほぼ植物食で海草や藻類を食べますがクラゲさんや魚卵などの動物質を食べることもあります・・・やっぱり海藻や藻類だけでは栄養が足りないんですかね?・・・たまにはタンパク質も取らないとね!・・・でもクラゲさんと間違えてビニール袋を食べて大変な事になったアオウミガメさんもいますので人間はゴミを捨てない様に注意しなければなりません・・・だいぶアオウミガメさんが近づいてきましたがちょっと立ち止まって考えているようです・・・「せっかく方向転換して近づいてきたのになんだ人間か?もっと面白いものだったらよかったのに!」といった表情をしています・・・よく見るとこのアオウミガメさん左足がありませんね!・・・大人になってサメにやられたのか赤ちゃんの頃やられたのかわかりませんが最近の怪我ではないようです。

- このアオウミガメさん片足が無くて今まで物凄く苦労してきたのでしょうがまずは元気そうで何よりです・・・これからもこのボニンブルーの綺麗な海で元気に生き抜いてください・・・ちなみに小笠原諸島ではアオウミガメさんは主に6月中旬から7月中旬頃の夜間に砂浜にあるアダンなどの低木の下に穴を掘り1回に80~150個の卵を数回に分けて産卵します・・・産卵巣はまず前肢で全身が隠れるほどの深い窪みを掘りそれから後肢を使って深い穴を掘りますがその姿は本当に一生懸命で健気でアオウミガメさんが無事卵を産めるようにそっと遠くから見つめていたことがあります・・・暗い波打ち際からひょっこり現れたアオウミガメのお母さんが砂浜にある低木の下まで時間をかけて這っていき砂を一生懸命彫っている姿は涙が出そうで思わず心の中で応援していました・・・産み落とされた卵は45~70日で孵化し無事成長すれば20~25年で成熟すると考えられています。

- 小笠原諸島では1876年に日本領になってから3000頭/年以上のアオウミガメさんが捕獲されました・・・1973年に小笠原諸島が日本に返還されてからは東京都知事の許可のもとに漁が行われ漁獲量は100~200頭/年前後となりました・・・ワシントン条約附属書Ⅰに記載されているため国際取引は全面禁止されほぼどの国でも法令でその捕獲禁止がうたわれていますが現在もなおかなりの数が世界中で捕獲され続けています・・・日本でも小笠原諸島の父島および母島や沖縄などで食用目的のためのウミガメ漁が認められています・・・でも産卵期の漁獲は禁止されており小笠原諸島では年に135頭まで沖縄では年に205頭までの捕獲制限を設けられています・・・また捕獲するアオウミガメさんについては小笠原諸島で体長75cm以上沖縄では腹甲長30cmから60cmに限定しています・・・近年は人工孵化と稚ガメの放流が行われており生息数は安定しているそうです。

- 今日も澄み切った天気の明るい柏島の青い海で小さなお魚さん達が元気に楽しく遊んでいますがそんな中サンゴの日傘の下でアオウミガメさんがお昼寝をしています・・・これだけ天気がいいと透き通ったブルーの中眩しくてアオウミガメさんも日傘なしではとてもとても快適に過ごせないですね・・・日差しを遮る絶好のお昼寝場所で寛いでいたアオウミガメさんですが残念ながら私に見つかってしまいました・・・「あれ?人間に見つかっちゃった!眩しい日差しを遮るお昼寝にちょうどいい場所だったのに!見られてると落ち着かないから他の場所に移動しようかな?」・・・ごめんなさいアオウミガメさん!せっかく寛いでいるところを邪魔しちゃいました!

- 「いいよ!別に!実はちょっと狭いかなとも思っていたしちょうどいい機会だ!もっとお昼寝にいい秘密の場所を知ってるからそっちに移動するよ!君には教えてあげないけどね」・・・なかなか前向きな考えのアオウミガメさんですが寝ぼけているのか頭をごつんとサンゴの日傘にぶつけてしまいました・・・「いてて!ちょっと恥ずかしいところを見られてしまったなあ!でも大丈夫だよ!僕の頭は石頭だから」・・・またもや前向きな考えのこのカメさんですがアオウミガメさんは主な食物である海草や海藻が生育可能な領域である熱帯から亜熱帯の海洋の比較的水深の浅い沿岸域で暮らしています・・・ご存知かと思いますがアオウミガメさんの特徴は①嘴がタイマイさんの様に尖っていない②目の後ろ側の黒いウロコが4枚ありさらにその後ろ側に細かいウロコがたくさんある③下あごは白く模様が無い④甲羅の後ろ半分の縁がタイマイさんの様にギザギザ飛び出ていないというのが特徴です・・・「それじゃあそろそろ移動するか!よっこいしょっ!」とサンゴの日傘の下からアオウミガメさんが出てきました

- アオウミガメさんのちょうど頭の真上に遠くかすんで見えるのはフタスジリュウキュウスズメダイさんですかね?・・・今まで意識していなかったのですがアオウミガメさんにもちゃんと立派な鼻の孔があるんですね・・・当たり前ですか?知らなかったのは私だけですか?・・・ウミガメさんの鼻の穴は水中でも閉じることはなく餌とともに取り込んだ海水を鼻からビュッと出すそうです・・・調べてみたのですがアオウミガメさんの左右の鼻腔内にそれぞれ4つの窩みが存在しそのうちの1つは海水が入りにくい構造だそうです・・・水が浸入する3つの窩みは2種類の感覚上皮があり水が浸入しにくい1つの窩みはそれらとは異なる1種類の感覚上皮があってこの事により空気中と水中の両方の臭いを嗅ぐことができるそうです・・・こんな凄いウミガメさんの鼻ですが以前鼻の中にプラスチックのストローが詰まってしまったウミガメさんがいたそうです・・・餌と一緒に間違ってストローを飲んでしまい海水と一緒に鼻からフンっと吐き出そうとして失敗したのではないかと見られています・・・ウミガメさんのためだけでなく環境汚染についても真剣に考えないといけないですね。

- それにしてもアオウミガメさんの瞳って澄みきっていてこの瞳に見つめられると私の心の底を覗かれている様で恐縮してしまいます・・・別に悪い事をしてるわけでは無いのですが何故か日々反省です!・・・海の中ではサンゴの上などでよっこいしょという感じでのんびりと過ごしているアオウミガメさんですが一旦泳ぎだすと流石に早いですね・・・スイスイス―イと颯爽に大海原に飛び出していきました・・・アオウミガメさんがさっき言っていた秘密の隠れ家は何処にあるのかわかりませんがそこを目指して旅立っていきました?・・・アオウミガメさんまたいつかこの海でお会いできたらいいですね・・・今度はゆっくりと語り合いたいものです・・・よく見ると左腕の付け根に丸い模様がありますから「あ!あの時のアオウミガメさんだ!」ってわかりますから。

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