ベラさんは世界中の暖かい海に約500種が暮らしていて日本近海には約130種が磯やサンゴ礁などで普通に見ることができます。ベラ科の魚は体長10~30cm程度の比較的小さな種類が多いのですがコブダイさんなど体長1メートルに達する大型魚も含まれています。ベラ科の最大種はメガネモチノウオさんでまれに体長2メートルを超えるものもいます。多くは鮮やかな色彩をもち雄と雌で身体の色が異なり成長に伴って性転換を行う種も多いです。キュウセンさんなど一部の種は夜には砂に潜って眠ることが知られていますしソメワケベラさんは他の魚の口の中や体表を掃除するという特異な生態をもっております。
赤ちゃんはわかるけど・・・ベラ?テンス? ケラマ
- どこかで見たことあるようなフォルムをしていますが誰の幼魚なのか思いつきません・・・おそらくベラの幼魚ではないかと思うのですが・・・大きさは1cmもなかったと思います。

お洒落しているシマタレクチベラさん 2024 小笠原
- 派手な化粧をしていますがよく見るとちょっと愛嬌のある顔をしたお魚さんがのそーっと近づいてきました・・・これはスズキ目ベラ科タレクチベラ属のシマタレクチベラさんではないでしょうか?・・・同じ属のタレクチベラさんによく似ていますがシマタレクチベラさんには体側に幅が広くちょっと地味な黒色の横帯が数本あるのが特徴です・・・また先ほども申しあげましたがシマタレクチベラさんの頭部は地味な身体とは対照的に派手な色彩をしています・・・それから唇は分厚くちょっと下向きになっているので他のお魚さんと区別するのは容易なのですがこの下向きの分厚い唇で底生生物を砂ごと口に入れて余分な砂を鰓から吐き出して捕食しています・・・シマタレクチベラさんは海域や個体によって色彩が大きく異なる場合があり大型個体では体長80cmに達するものもいます・・・ちなみにシマタレクチベラさんの幼魚は緑色で白色の横帯があります。

- シマタレクチベラさんによく似ているスズキ目ベラ科タレクチベラ属のタレクチベラさんは体長は80cm前後でサンゴ礁域や岩礁域で暮らしています・・・タレクチベラさんの身体の色は前半部が明色で後半部は暗色の2色に分かれていますが若魚では2色の間の白色がくっきりとしています・・・タレクチベラさんもシマタレクチベラさんと同じで唇がぶ厚いのが特徴で底生生物を砂ごと口に入れて余分な砂を鰓から吐き出して捕食します・・・タレクチという名前もここから来たのでしょうか?・・・タレクチベラさんのオスは全体的に暗色ですが腹部に白色の三角形の斑紋を残すものが見られます・・・タレクチベラさんのメスの体色は前方が白く後方が暗色に染め分けられ水中でもよく目立っています・・・話は変わりますがこの写真のシマタレクチベラさんの眼の後ろの黒斑が本当の目に見えてしまって仕方が無いです。
華憐なツユベラさんと可憐なツユベラおちびさんは全然違う!
- シュッと通り過ぎたこの綺麗な黄色い尾鰭に青い小さな斑点がたくさん散らばっているのはスズキ目ベラ科カンムリベラ属のツユベラさんだと思うのですが如何でしょうか?・・・有名なのはツユベラさんのおちびさんの方で綺麗な濃いオレンジ色の身体に黒い縁取りをした白い鞍のようなもの背負っていて可憐な可愛いおちびさんです・・・ツユベラさんのおちびさんは岩陰の小さな砂溜まりで単独でじっとしているのですがこの白い鞍のような斑紋が砂と同化して目立たなくなると言われています・・・でも私的には身体の色が濃いオレンジ色なので目立つような気がしますが如何なものでしょうか?・・・少し成長したツユベラさんの若魚は幼魚で見られるこの鞍のような白色斑が薄くなり尾鰭は黄色で尾柄から前方の体側へ青色斑点が広がっていきます。

- ツユベラさんは成魚になると頭部に紺碧色の隈取り模様が出てきて尾鰭の先端は黄色で胸鰭の基部は紺色になり体側に多数の青色斑点のある身体に変化していきます・・・ちょっとぼけていますがよく見るとこの写真のお魚さんも顔の辺りに隈取模様のようなものがあるような気がします・・・それからツユベラさんのメスはオスより青い斑点が尾鰭側に集中し成魚のオスは婚姻色として体側に1本の黄色横帯がありそして大型のオスは顔が青っぽく背鰭の第1棘が著しく伸長しています・・・この写真のツユベラさんは黄色横帯の婚姻色はありませんが顔が青っぽく背鰭の第1棘が長めで折りたたんでいるように見えますのでオスのツユベラさんかな?・・・ツユベラさんはエビやカニが大好きで好んで食べるそうですが全長30cm程度で浅いサンゴ礁の礁斜面や浅い岩礁や転石砂礫底で暮らしていて危険を感じた時や夜間寝る時などは砂の中に潜るそうです。

- ツユベラさんがおちびさんの頃は体の色が濃いオレンジ色で黒縁で囲まれた白い斑が口の辺りにと頭部に一つそして背部に三つあります・・・ツユベラさんのおちびさんはカラフルで可愛いお魚さんですが体長が10cmほどになる頃には成魚と同じ体色へと変化していきます・・・ツユベラさんは成長にするにつれて尾の部分から鮮やかな蛍光の青い斑点が出てきておちびさんの頃の白い斑が消え体の色がオレンジから赤みの強い茶褐色への変化していきます・・・ツユベラさんはおちびさんから成魚になるまでに著しく体色や模様が変わりますがそれが大きな特徴になっています・・・それにしてもすごい変わりようなのでこの変化を知らないと決して親子とは思わないですね・・・ツユベラさんはおちびさんの頃は何故か絶えずユラユラと揺れるように泳ぐ習性がありますが外敵から身を守るために自ら別の生き物をイメージして擬態しているからだと言われています・・・でもツユベラさんと同じような生き物がいるようには思えないのですがどのような生き物を連想してこのおちびさんはユラユラしているのでしょうか?・・・下の写真のツユベラさんのおちびさんもユラユラと泳いでいましたが目がクリクリっとしていて何とも言えず可愛いですね。

創造性と論理的思考が求められる迷路を作ったのはナポレオンさん?
- スズキ目ベラ科モチノウオ属のナポレオンさんがヌ~っと近づいてきてくれましたがナポレオンさんの体の模様って細かい筋がたくさんあってまるで難易度の高い迷路のようだと思いませんか?・・・迷路と言えばいくつかの種類があり目的地に到達するために唯一の正しい道を見つけるクラシック迷路や途中に分岐や袋小路が多く目的地までの道が複数存在する迷宮迷路や特定のルールや制限の中で解く必要がある論理パズル迷路などがあります・・・迷路は問題解決能力や忍耐力を鍛えるのにも役立ちますが迷路の歴史はとても古く文明の発展とともに進化してきました・・・最も有名な迷路は古代ギリシャのクレタ島にあった伝説の迷宮でミノタウロスがいたと言われダイダロスによって作られた迷宮です・・・それにしてもよくこんなに唐草模様の様な細かい作業をナポレオンさんは身体に施したものです・・・人間でいうとまるで指紋のような筋筋ですがナポレオンさんも個体によってそれぞれ特徴があって個体識別ができるとすればすごいですね!

- ナポレオンフィッシュさんの和名はメガネモチノウオさんですが大きく成長して張り出した前頭部がナポレオンの被っていた帽子に見えることからナポレオンフィッシュさんと呼ばれるようになりました・・・・メガネモチノウオさんという和名は目の後方から口にかけてある黒い帯状の模様がメガネを掛けているように見えることに由来しています・・・メガネモチノウオさんはベラ科最大のお魚さんで成熟したオスは2mを超えるものもいますが他のベラさんと同様に雌性先熟の性転換をするお魚さんです・・・メガネモチノウオさんの体色や体表の模様は成長段階や個体によって変異があり幼魚やメスは水色~黄白色の地に藍色などの模様が入って目を通る縦帯が黒く目立ちます・・・成長したオスは全体的に黄褐色~青緑色と色彩が鮮やかになに目を通る縦帯が薄れさらに額が瘤状に前へ突き出て頭部全体も大きくなります・・・またオスのナポレオンさんは前方にニューっと突き出た大きな口にぶ厚い唇で迫力を出して縄張り意識を持ち始めます。

- 話は変わりますがナポレオンさんって目ってクリクリしていて飛び出していてギョロ目のイメージがありましたがよく見るとナポレオンさんの眼って体の割に小さくないですかね?・・・今まで気が付きませんでしたが過去の写真も見返してみると意外と小さいんです!・・・ナポレオンさんに対して私は勝手なイメージを持っていましたが全然違ってかわいい眼をしています・・・それにナポレオンさんは結構人懐っこい表情をしていますし図体の大きさに反して可愛らしく何とも言えずユニークで憎めないお魚さんです・・・悠々と泳いでいる姿はなかなかの迫力ですが「近くが見えないよう!老眼だから仕方ないか?」って老眼鏡をかけているおじさんのようでもあります・・・ナポレオンフィッシュさんは浅い海の岩礁やサンゴ礁に住んでいてその明るい海を悠々と泳ぎまわっていますがパラオではブルーコーナーの縁あたりをウロウロしています。

- 性転換する習性を持っているナポレオンフィッシュさんは繁殖期に縄張りの中にいる最も大きいメスの個体がオスとなりますがもしもそのオスが死んでしまったら次に大きいメスがオスに性転換するそうです・・・ナポレオンフィッシュさん達は小さくて弱く縄張りが作れない時期にメスとして卵を産み強く大きくなったらオスとして縄張りを持ちハーレムを築いてその群れを守って子孫を次の世代へつないでいくナポレオンフィッシュさん達なのです・・・そんなナポレオンフィッシュさんですが実は高級食用魚として重宝されていてさしみや煮つけや塩焼きなど大変美味とされています・・・私もパラオでナポレオンフィッシュさんを食べさせていただきましたが唇のあたりがプルプルしていてとてもおいしかったです・・・ダイビングで見て親近感を持ったお魚さん達ですが釣られたお魚さんは美味しくいただくことが大切です・・・下の写真のナポレオンフィッシュさんは右目は後ろを左目は前を見て器用に辺りを観察しています。


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